――だから、わたしはあなたを好きになった――……


言って、彼女はひとすじの涙を流した。

涙は滑らかな頬を滑り、地面へと吸い込まれていく。
連日の晴天で枯れきったアスファルトは、いとも簡単にそれを受け入れた。

――何も、言ってくれないの?

涙声で呟く彼女。僕は静かに拳を握り締める。

そして僕はただ真っ直ぐに、彼女を見据えた。

己の現状を、己の運命を、そして抗いようのない鎖を、心の底から憎みながら。

そう、僕はその時生まれて初めて自分のことを呪ったのだ。



僕が、僕が覚醒者になど成っていなければ僕達は、と――。



長編オリジナル小説
RE:BIRTH

はじめから 第一章

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